「舟を編む」に出てくる言葉のプロには遠く及びませんが、以前携わっていた仕事の関係で、言葉に少しだけ詳しくなりました。
僕個人としては、日常生活での言葉の間違いは、全く気にしていませんが、ビジネスシーンだとそうもいかない。間違った言葉を使っていると、先方に常識を疑われてしまいます。
そこで、メディアなどでよく目にする“言葉の間違い”を紹介しながら、“正しい日本語”の知識が身につくような記事を書きたいと思います。
皆さんの語彙力アップにつながれば、幸いです。
読まなくてもいい前置き
テレビでもおなじみの言語学者、金田一秀穂さんが以前こんなことをおっしゃっていました。「言語はそれを話す人によって創られるものであり、変化し続けるもの」と。その変化とは“誤用”であったり、いわゆる“若者言葉”であったり、“外来語”であったりするのでしょう。言葉の本来の意味が間違えられて、間違えた意味の言葉の方が広く浸透して、どちらの意味でも使われるようになるのはよくあることです。
たとえば、「敷居が高い」という言葉は、本来は“不義理をしてしまって、相手の家に行きにくくなる”という意味ですが、近年では、「高級フレンチは敷居が高い」というように、ハードルが高いという意味で使われることが多くなっています。むしろ、本来の意味で使われるのを、あまり見かけません。
ともすれば、“正しい日本語”なんて本当はなくて、言葉の乱れや誤用に、あまり目くじらを立てなくてもいいんじゃないの、という意味だと(勝手に)解釈して、感銘を受けました。
しかし、記事としては、“言葉の間違い”とした方が、読む人にわかりやすいだろうということで、あえてそういう表現をとらせていただきます。ご了承ください。
以上、読まなくてもいい前置きでした。
よくある“言葉の間違い”例
煮詰まる
「会議が煮詰まってしまって、進まない」というように使われているのを、よく目にします。正しい意味は“議論が出尽くして、結論が出せる状態になること”。料理で煮詰めるといえば、最後の仕上げの段階で使われることが多いと思います。
なので、「会議が煮詰まってきたので、休憩を挟んで決を採ります」というように使用するのが、正しい使い方となります。
おそらく“行き止まりの状態になる”という意味の「行き詰まる」と語感が似ていることから、混用されていると考えられます。これも、いずれはどちらの意味でも使われるようになるんじゃないかと、個人的には思います。
極めつけ
近頃は、市民権を得てきた感のある「極めつけ」という表現ですが、実は語源をひもとくと「極めつき」が正しい。もともと、刀剣などの鑑定書が極め書きといわれ、その証のついたものを、「極めつき(の○○)」と呼んだことに由来する言葉です。
しかし、「素晴らしいドラマの“極めつけ”は最終回だった。」というように最上を意味する使い方をするときは、語感的に「き」よりも「け」の方が納まりが良い気もします。あくまで個人的にですが。
フューチャー
テレビを見ていて、一番気になるのはこれかもしれません。「今回は、ゲストの誰々さんにフューチャーします!」とか、たまに聞きますが、“焦点を当てる”という意味であれば、「フィーチャー」が正しいでしょう。語感が似ているために、混用されることが多いようですが、“将来・未来”を意味するフューチャーを使うのは、明らかに間違いだと思います。外来語ですが、広い意味での“日本語”ということで。
読んでほしいあとがき
前置きで触れたように、上で挙げた例も、いつか“正しい日本語”になるかもしれません。専門家から見れば、この記事もブログも間違った日本語だらけかもしれませんが、もしかしたら遠い未来には、“正しい日本語”になっているかもしれませんので、ご容赦くださいませ。
これからも、誤解を恐れず“正しい日本語”を紹介する記事を書いていければと思っています。
それでは、また。